シンポジウム9「遠位バイパスに必要な知識と手技」

2月11日(日)シンポジウム9 「遠位バイパスに必要な知識と手技」

座長 大谷 則史(製鉄記念室蘭病院 心臓血管外科 副院長)

「遠位バイパスの利点・役割」
基調講演/座長 東 信良(旭川医科大学 外科学講座 血管外科学分野 教授)
共演者
菊地信介、内田大貴、大平成真、多田祐樹、古屋敦宏

「Distal bypassに必要な知識と手技」

東 信良(旭川医科大学 外科学講座血管外科学分野)

バイパス術は、中枢吻合動脈の選択、代用血管の選択、そして末梢吻合動脈の選択の3つで成り立つ。バイパス術成功には、この3つをいかに適切に選択するかにかかっており、術前評価の重要性とともに、術中・術後評価も重要となる。

【術前評価】まず、バイパス術に耐術可能かどうか、全身評価が重要である。適応となる患者の多くが複数の生活習慣病を抱えて心事故のハイリスクであるため、術前心機能の評価と冠血流評価(薬剤負荷心筋シンチ、冠動脈CTあるいはCAG)が必須である。ハイリスクで、全身麻酔がかけられない場合、神経ブロック麻酔によるdistal bypass術(DB)実施が可能となってきた現状では、術前評価は麻酔法選択の上でも重要となる。
DBを行う上での術前評価としては、画像診断による中枢動脈と末梢動脈の質的評価とグラフト材料評価が必須である。特に、エコーでの四肢表在静脈の内径と内腔性状をチェックは重要である。単純X線写真による動脈石灰化の評価も適切な吻合部選択に必須である。

【術中評価】麻酔導入後に末梢吻合予定部位および使用静脈走行をマーキングすることで、最小の皮膚切開での手術が可能となる。また、使用予定静脈を実際に術中剥離して、剥離した直後の外径および拡張性を評価して、DBに適しているかを確認することが重要である。

【血流遮断と吻合方法】吻合を行う場合、特に石灰化動脈への吻合の場合、動脈血流の遮断法の選択や使用する針糸の選択にも気を配る必要がある。

【吻合後評価】グラフト血流量およびcomplete angiographyを行う。血流量と血流波形および造影所見の3者をみて、懸念される所見がある場合は、放置せず、適切に対処して、術後に憂いを残さないよう努める。
下肢血行再建での最良の再建材料である大伏在静脈を使用する手術を実施する責任として、その大切な材料をできるだけ長く開存させなければならないという思いで、DBの戦略を立て、術中も愛護的に静脈材料を扱い、しっかり評価して手術を終えることが望まれる。

※本ページの使用画像はイメージです(過去の学会風景より)

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